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9.独立な確率変数

このページは電子ブック探求 数学B・Cの一部です。

★二項分布のnとpを変えてみよう。

1.独立な事象の確率法則

<事象の独立> 2つの事象A,Bが独立なのは、 Aという条件のもとでのBの確率P(B|A)=P(B)か、 Bという条件のもとでのAの確率P(A|B)=P(A)が成り立つとき、 独立事象では、積事象の確率は確率の積と等しい。 P(A∩B)=P(A)P(B) 複数の独立な確率変数の同時確率は確率の積と等しい。 P(X=a, Y=b)=P(X=a)P(Y=b) P(X=a, Y=b, Z=c)=P(X=a)P(Y=b)P(Z=c) ・計算せずとも、独立になる事象がある。 それは、サイコロをふって出る目や、袋から玉を取り出してはもとに戻すなど、 試行の結果が次の試行に影響を与えない場合だ。 ・また、確率変数の要素のリストがA,Bの2系統あり、その直積空間A×Bを全体とすれば、 リストAにおける事象PがAに占める割合は、Bの要素をくっつけても、分母も分子もBの要素倍されるから 変わらないから、独立になる。 (例) 「1から6のカードがあり1枚ひくときの数について、事象Aが偶数をひく、事象Bが3の倍数をひく  とする。AとBは独立な事象」か? U={1,2,3,4,5,6}, A={2,4,6}, B={3,6}, A∩B={6} P(B|A)=n(A∩B)/n(A)=1/3、P(B)=n(B)/n(U)=2/6=1/3で等しい。 P(A|B)=n(A∩B)/n(B)=1/2、P(A)=n(A)/n(U)=3/6=1/2で等しい。だから、AとBは独立。 P(A∩B)=1/6。P(A)P(B)=1/2・1/3=1/6。 (例) 「1から5のカードがあり1枚ひくときの数について、素数ならX=1、それ以外はX=2,奇数ならY=1,それ以外はY=2。XとYは独立」か? P(X=1)=3/5,P(X=2)=2/5,P(Y=1)=3/5,P(Y=2)=2/5。 P(X=1,Y=1)=2/5。P(X=1)P(Y=1)=3/5・3/5=9/25だから、等しくない。だから、独立ではない。

2.期待値積の法則と分散和の法則

<独立な確率変数で成り立つ法則> Eの線形性から E(ax+bY)=aE(X)+bE(Y) E(X+Y)=E(X)+E(Y) 確率変数X,Y,Zが独立なら、 E(XY)=E(X)E(Y) V(X+Y)=V(X)+V(Y) E(XYZ)=E(X)E(Y)E(Y) V(X+Y)=V(X)+V(Y)+V(Z) (例) 「1から6のカードがあり1枚ひくときの数について、確率変数Xは2で割った余り、確率変数Yは3で割った余りのとき、期待値積の法則、分散和の法則」は成り立つか? 確率変数X,Yは独立なので、成り立つはず。 U={1,2,3,4,5,6}, X={0,1}に対して、p(X)={1/2,1/2}。E(X)=0・1/2+1・1/2=1/2=mx, V(X)=E((X-mx)2)=(0-1/2)21/2+(1-1/2)21/2=1/4。 Y={0,1,2}に対して、p(Y)={1/3,1/3,1/3}。E(Y)=0・1/3+1・1/3+2・1/3=1=my, V(Y)=E((Y-my)2)=(0-1)21/3+(1-1)21/3+(2-1)21/3=2/3。 XY={0,1,2}に対して、p(XY)={2/3,1/6,1/6}。E(XY)=0・2/3+1・1/6+2・1/6=1/2=mxy=mx・myとなり、 期待値積の法則は成り立つ。 X+Y={0,1,2,3}に対して、p(X+Y)={1/6,1/3,1/3,1/6}。 E(X+Y)=0・1/6+1・1/3+2・1/3+3・1/6=3/2=m(x+y)=mx+my(期待値の線形性) V(X+Y)=E((X+Y-m(x+y))2)=(0-3/2)21/6+(1-3/2)21/3+(2-3/2)21/3+(3-3/2)21/6=11/12。 V(X)+V(Y)=1/4+2/3=11/12となるから、 分散和の法則は成り立つ。 (例) 「さいころを1個なげ出た目をXとする。赤玉6個と白玉4個が入った袋から同時に2個の玉を取り出して その白玉の数をY個とするとき、E(X+Y),V(X+Y),E(XY)」は? 明らかにp(X)とp(Y)は独立。 どのXにもP(X)=1/6で、E(X)=m=(1+6)・6・1/2・1/6=7/2。 V(X)=E(X2)-m2=6・7・(6+7)/6・1/6 - (7/2)2=91/6 - 49/4=35/12。 Y={0,1,2}に対してP(0)=6C2/10C2=5/15,P(1)=6C1・4C1/10C2=8/15、P(2)=4C2/10C2=2/15だから、 E(Y)=0+1・8/15+2・2/15=12/15=4/5。V(Y)=12・8/15+22・2/15-(4/5)2 =16/15-16/25=32/75。 E(X+Y)=E(X)+E(Y)=7/2+4/5=43/10, V(X+Y)=V(X)+V(Y)=35/12+32/75=1003/300。 E(XY)=E(X)E(Y)=7/2・4/5=14/5。

3.二項分布

<二項分布> つぎの2つ条件を満足する分布を二項分布といいます。 1。試行の結果[outcome]が裏と表のように、2つに分かれる。特に「善悪」の意味はないが、「成功」「失敗」のラベルをはることができる。試行の結果が、かぶらない2つの事象に分かれればよい。 2。n回試行があると、すべて試行が独立だ。いわゆる、ベルヌーイ試行[Bernoulli trials]。コイン投げのみたいに。 1試行の結果が「成功」する確率がpで、「失敗」する確率は1-pだから、 n回試行したときk回「成功」すると,「失敗」は残りの回数のn-k回ある。 「成功する回目」が「n個の回目」のどれになるかは、n個からk個選ぶ組み合わせnCk通りあるね。 そのどの場合でも、k回成功し、残りは失敗の確率はpのk乗と(1−p)の(n-k)乗の積になる。 ということはP(X=k)、またはP(k)は、nCkpk(1-p)n-kとなる。 成功回数は変えることができるので、成功回数をX回という確率変数にして、そのときの確率をP(k)にすると確率分布pmfがP(X=k)=nCkpk(1-p)n-kだ。二項分布[Binomial distribution]はB(n,p)で表すことがある。 (例) 「家から学校にいくまでに3つの交差点を渡る。どれも信号がついていて、赤信号の確率は0.7だとする。 3つわたって、赤信号にX=k回出くわす確率P(X=k)のPmf」は? B(3, 0.7)を求めることなる。 P(X=0)=3C0(7/10)0(1-7/10)3-0=1(1)(3/10)3=0.027 P(X=1)=3C1(7/10)1(1-7/10)3-1=3(7/10)(3/10)2=0.189 P(X=2)=3C2(7/10)2(1-7/10)3-2=3(7/10)2(3/10)=0.441 P(X=3)=3C3(7/10)3(1-7/10)3-3=1(7/10)3(1)=0.343 確率が高めなので2回も赤信号にあたる確率が一番高いし、3回とも赤信号というもの割と高めだね。 さて、0.027+0.0189+0.441+0.343=1になるのはなぜだろう? (7/10X+3/10)3の展開式でXkの係数がP(X=k)にあたる。展開したXの3次式でX=1を代入したものが 係数の和の式で、これは(7/10+3/10)3=13=1になることは明らかだね。 pmfだから、確率の和は1になる。∑P(X=k)=∑nCkpk(1-p)n-k=1 <二項分布のE,V,σ> E(X)=np (理由) X={0,1,....,k,...,n}に対して、P={nC0p0(1-p)n, nC1p1(1-p)n-1,.......,nCkpk(1-p)n-k,........,nCnpn(1-p)n-n} k=0のときは積は0になるので、kを1からnまで動かせばよい。 E(X)=∑xipi= n-k=(n-1)-(k-1)を使うと、さらに =np∑(n-1)C(k-1)p(k-1)(1-p)((n-1)-(k-1)) =np∑NCKpK(1-p)N-K=np・1=np (変数変化しても確率の和が1になるから) (別解) 独立試行、ベルヌーイ試行なので、成功ならX=1、失敗ならX=0の結果とすると、毎回の期待値は E(X)=1・p+0・(1-p)=pとなる。独立試行の期待値は線形なのでE(nX)=np V(X)=npq、σ(X)=√(npq) (理由) E(X2)=∑(xi)2pi= = だから、V(X)=E(X2)-(E(X))2=p2n(n-1)+np-(np)2=np-np2=np(1-p) (別解) ベルヌーイ試行でX2の期待値はXの期待値と同じくpになる。だから、V(X)=p-p2=p(1-p)。 分散は独立試行では加算されるので回数がnならばn倍する。np(1-p)。 (例) 「公平なコインを100回なげるとき、表は50回くらいでるはず。」 n=100で、p=0.5なら、E(X)=np=100×0.5=50。 標準偏差σはnp(1-p)のルートだから、σ=√(50・0.5)=5 P[E(X) − 3σ(X) ≤ X ≤ E(X) + 3σ(X)]= 0.99という法則にあてはめると、 50-3・5=50-15=35回以上、50+15=65回以下の回数が99%の確率であり得る。 (例) 「赤玉3個と白玉2個が入った袋から玉を1個取り出して戻すことを5回くり返すときに赤の出る回数をX回とする。E(X),V(X)」は? 試行はベルヌーイ試行。p=3/5, 1-p=2/5。 これを5回反復するときの確率分布はB(5,3/5)となる。 n=5,p=3/5だから、E(X)=np=3。V(X)=E(X)(1-p)=3・2/5=6/5。