6.収束/発散テスト
このページは電子ブック「探求 数学Ⅲ」の一部です。
1.正項級数
★単調増加数列が上に有界ならば、数列は収束する。
さて、正項級数∑anというのはその名の通り、どの項anも正の数列からできた無限級数だ。
<基本性質>
・「和の有界定理」
正項級数が収束することと、部分和が有界なことは同値だ。
(理由)
正項級数の部分和は単調増加数列になる。部分和は発散か有界かのどちらか。
もし、部分和が収束したら、部分和が有界となる。
部分和が有界であるならば、部分和は収束するから、数列は収束する。
・「和の一定定理」
収束する正項級数∑anも順番入れ替えの級数∑ankも和は同じ
収束するかっこつきの正項級数∑anはかっこをとった級数∑ankと和が同じ
★テスト結果が早くわかりすぎているような。。。
2.判定テスト
<大小比較テスト>
・直接比較[direct comparison]
正項級数∑anと∑bnがどのnでもanがbn以下のとき、
小さい∑anが発散すれば∑bnも発散し、大きい∑bnが収束すれば∑anも収束する。
(例)
「an=1/n2, bn=2/n(n+1)とする。∑anが収束する」理由は?
nが1以上なら 、n2-n=n(n-1)はゼロ以上だから、2n2はn2+n=n(n+1)以上。
だから、anはbn以下となる。
一方で∑bn=2∑(1/k-1/(k+1)=2(1-1/n+1)→2(n→∞のとき)で収束する。
だから∑anは収束する。
・極限値比較[limit comparison]
正項級数∑anと∑bnでもan/bn以の極限値が有界な正数ならば、2つの級数の発散と収束は一致する。
(例)
「an=1/(n2-lnn) bn=1/n2とする。∑anが収束する」理由は?
∑1/n2はp乗数列でp=2は1より大きいから収束する。
しかし、anはbnより大きいから、直接比較は役立たない。
ロピタルの定理を2回使うと、
lim an/bn=lim n2/(n2-lnn) =lim 2/(2+n2)=2/2=1は有界で正の極限値だから、テストに合格する。
だから、∑bnが収束するから∑anも収束する。
<Rootテスト>
コーシーのべき根テスト
正項級数∑anについて、anのn乗根の数列がrに収束するとき、
rが0以上1未満なら∑anは収束し、1より大きいと∑anは発散する。
(例)
「級数S=∑((an+b)/(cn+d))nは収束・発散」はどうなる?
数列のn乗根は(an+b)/(cn+d)=(a+b/n)/(c+d/n)→a/c(n→∞のとき)
だから、a/cが1未満のとき収束し、1より大きいとき発散する。
<Ratioテスト>
ダランベールの比テスト
正項級数∑anについて、an+1/anの数列がrに収束するとき、
rが0以上1未満なら∑anは収束し、1より大きいと∑anは発散する。
(例)
「an=xn/n!とするとき、級数∑anの収束・発散」どうなる?
an+1/an = (xn+1/(n+1)!)/(xn/n!)=x/n+1→x/∞=0(n→∞のとき)」
(例)
「an=nn/n!とするとき、級数∑anの収束・発散」どうなる?
an+1/an=((n+1)n+1/(n+1)!)/(nn/n!)=(n+1)n+1/nn・(n+1)=((n+1)/n)n=(1+1/n)n→e(2.718281828...)
eは1より大きいので、級数は発散する。