モードとスケール
メジャーもマイナーもいろいろ選べる
このワークシートはMath by Codeの一部です。
アプレット、背景、実装の順に見ていきましょう。

1.背景
和音の名前をキーのスケールに関係づけることで調べてきました。
しかし、スケールは和音の理解でけではなく、
もちろん、メロディー作りにつながります。
今回は、メロディーのもとである、スケールとモードに着目してみよう。
<教会モードで度数の思い起こし>
C=1番を絶対化して白鍵だけでひくと、
1番スタートはCイオニアン(メジャー)全全半全 全全半 で、4和音はC△7
2番スタートはDドリアン 全半全全 全半全 で、4和音はDm7
3番スタートはEフリジアン 半全全全 半全全 で、4和音はEm7
4番スタートはFリディアン 全全全半 全全半 で、4和音はF△7
5番スタートはGミクソ・リディアン 全全半全 全半全 で、4和音はG7
6番スタートはAエオリアン(マイナー)全半全全 半全全 で、4和音はAm7
7番スタートはBロクリアン 半全全半 全全全 で、4和音はBm7-5
でした。
<コードからモードへ>
すべてのモードを1スタートにすると、
1イオニアン(メジャー)全全半全 全全半 で、4和音は1△7 (1のまま)
1ドリアン 全半全全 全半全 で、4和音は1m7(もとは2)
1フリジアン 半全全全 半全全 で、4和音は1m7(もとは3)
1リディアン 全全全半 全全半 で、4和音は1△7(もとは4)
1ミクソ・リディアン 全全半全 全半全 で、4和音は17(もとは5)
1エオリアン(マイナー)全半全全 半全全 で、4和音は1m7 (もとは6)
1ロクリアン 半全全半 全全全 で、4和音は1m7-5(もとは7)
となります。
ここで、原因としてのスケール、結果としてのコードの関係を逆転しましょう。
環境としてのコードにあうようにスケールを分類してみよう。
・A△7、A7のとき、
1イオニアン(メジャー)全全半 全 全全 半 で、4和音は1△7(もと1△7)
1リディアン 全全全|半 全全半 で、4和音は1△7(もと4△7)
1ミクソ・リディアン 全全半 全 全半|全 で、4和音は17 (もと57)
・Am7、Am7-5のとき、
1エオリアン(マイナー)全 半全全 半|全全 で、4和音は1m7 (もと6m7)
1ドリアン 全 半全全 全|半全 で、4和音は1m7 (もと2m7)
1フリジアン 半|全全全 半 全全 で、4和音は1m7 (もと3m7)
1ロクリアン 半 全全 半全 全全 で、4和音は1m7-5(もと7m7-5)
ざっくりと、メジャー的とマイナー的にわけることができました。
メジャーコードならイオニアン、マイナーならエオリアンという使い方以外に次の候補も出てきました。
・メジャーコードでリディアン
4度下を1としたメジャースケールです。AリディアンならEメジャースケールです。
ギターなら1弦低い音のメジャースケールです。
4度の音程が全全半でなく全全全になるので、
+4の音が目立ちます。+11テンションのような明るい上昇感が生まれるでしょう。
だから、メジャーコードの主音がかわるごとにリディアンの主音もスライドして弾くと、
明るい浮遊感が生まれる可能性があります。
(例)ハービーハンコックのMaiden VoyageでのGmaj7+11 や F#maj7+11でのリディアン。
・メジャーコードでミクソリディアン
4度上を1としたメジャースケールです。AミクソリディアンならDメジャースケールです。
ギターなら1弦高い音のメジャースケールです。
ミクソリディアンにすると、後半の7度が全全半全全全から、全全半全全半と
半音下がるので、7度がマイナー7として強調されるので、ドミナント感がでます。
このー7の音が明るいブルース感が出ます。もちろん、セブンスのコードにあいますね。
(例)ジェフベックのFreewayJamでのGミクソリディアン。
・マイナーコードでドリアン
ジャズやフュージョン系の色が強くでます。
1全音下げた音を1としたメジャースケールです。AドリアンなGメジャースケールをひきます。
ギターなら2フレット下のメジャースケールです。
6度の音程が全半全全半が全半全全全になり+6になるため、鋭く冷たく悲しい感じとか
知的な味がでるといわれています。
(例)マイルスデイビスのSo WhatでのAドリアンでAm7とD7
・コードがメジャーでもマイナーでもドリアン
1ドリアンのスケールの音だけをつかって、積み重ねると、どんなコードになるだろうか。
1,2,3,4,5,+6、7(特徴は+6度)全半全全 全半全
1ドリアンの各音をルートとして3度堆積していくと、以下のようなコードが作られます。
1番m7:1,3,5,7 1ドリアンに最適なコードですね。
2番m7 :2,4、+6,8 特徴の+6あり。
3番maj7 :3,5,7,9 1ドリアンは0メジャースケールの2番モードだからピッタリだ。
4番7 : 4,+6,1,3 D-F#-A-C 特徴の+6もあり1m7と2音共通。1m7から進行しやすい。
5番m7 : 5,7、2、4
+6番m7-5 : +6、1、3,5 特徴の+6あり
7番Gmaj7 : 7、2、4、+6 特徴の+6あり
ドリアンスケール上に積んだコードで、コードが次つぎと変化したとしても、
ドリアンスケールを弾き続けるというのもありですね。
関連性のある良質な違和感が生まれることもあるでしょう。
他にもスケールはいろいろあります。
民族音楽のスケールとかもあります。
民族性はなくても、役立つスケールがあります。
<ペンタトニック>
ペンタゴンのペンタ、5音階です。
ドレミファソラシ(CDEFGAB)の4番F,7番Bぬきです。半音でとなりあう2音がぬけます。
全半や半全は半音3つ分で、半音のトリプルなのでTとかくと、
全全半全全全半が全全T全Tになり、音程が全かTの2種類になります。
Cメジャーペンタトニックの音程は全全T全Tだから、
音名はC,D,E,G,A,C,D,E,G,A,Cですが、
6度スタートのAマイナーペンタトニックの音程は最後のTから始まるので、T全全T全
音名はA,C,D,E,G,A,C,D,E,G,A,C,.....です。
・ペンタトニックとギター
ギターの調弦のルールから、開放弦が低い方から順に
E,A,D,G,B,Eになっています。
だから、6弦のすべての5フレットを押さえた音は4度上になります。
A, D, G, C, E, A
一方で、Aマイナーペンタトニックの音階の2オクタープすこしは、
A,C, D,E, G,A, C,D, E,G, A,C
6弦⑤⑧5弦⑤⑦4弦⑤⑦3弦⑤⑦2弦⑤⑧1弦⑤⑧となります。
6弦と1弦は同じ音名なので、
6弦から2弦だけ見てましょう。
58、57,57,57,58と
ギターのネックの軸を中心に線対称になっていて覚えやすいですね。
その単純で覚えやすい形でもあるためか、ギターの入門用によく紹介される。
それがマイナーペンタトニックスケールです。
6弦の⑤=Aのとき、Aのマイナーペンタトニックスケールです。
6弦の⑧=Cに目をつけると、Cのメジャーペンタトニックスケールでもあるのです。
(例)ウェスモンゴメリーがマイナーペンタトニックをオクターブ奏法で使う。



<ペンタトニックでブルース>
ブルーススケールというのがあります。
ブルーススケールは、
1、-3,4、-5、6、-7
度数でみると、
なんかすごそうですが、
マイナーペンタトニック自体が
1、-3,4, 6,-7でした。
だから、ありなしで考えると、-5音が追加されただけですね。
音楽はただ数値としての音程、度数だけではなく、そこに込められたカラーがあります。
だから、-3、-5、-7の音を強調するために、
そこに楽器ごとの演奏技術(スライドやビブラート、パッシングノートなど)
を加えてその近傍の周波数を強調しましょう。
ただの音階練習にならないようことが大切です。
<ディミニッシュ系>
ディミニッシュ7コードは、4音コードで、音程が12÷4=3半音、半音のトリプルTでした。
この不思議に単純なコードは全部で本質的に3つしかなく、
半音ずつスライドすれば作れました。
この不思議なコードにもスケールがあります。
この3半音を全1半1に分解すると
主音から
|全半|全半|全半|全半|という超綺麗な感覚のスケールができます。
音名にすると、ジャープがつくコードが増えて難解なイメージがありますが。
仕組みは単純です。
それがディミニッシュスケールです。
番号でみると
1、2、-3、+4、ー5、-6、maj7
かなりマイナーペンタに似ていることがわかますね。
(例)
これに類似しているのが12÷2=6全音に区切る、ホールトーンスケールというのもあります。
|全全全全全全|です。
音程でかくと、簡単ですね。
2.実装
質問:スケールの違いとルートの変更が視覚化できるアプレットはどうやって作りますか?
12種類の音名があるので、12角形の点にします。
たとえば、e^(i 2π/k) k=1...12として、12個の複素数z1からz12を設定しましょう。
12音名のリストNameS={"B", "C",......., "A#"}にたいして、
NameS(1), NameS(2),....,NameS(12)を1つ1つのテキストオブジェクトとして、
txt1, txt2,.....txt12と名前をつけなおします。
そうして、それぞれのテキストオブジェクトtxt kの「設定」の「位置」のリストから対応するzk
を選ぶべば、12個の頂点に、音名を表示できるようになるでしょう。
1つ1つの複素数の他に、複素数のリストpt=sequence(e^(i 2π/k), k, 1, 12)を設定しておけば、
pt(x)のxを適当に選ぶことで、スケールに関係のある点を強調できます。
ここまでは、これまでと同じです。
ここからがちがいます。
スケールを半音を1度として、ルート音1としたときの数え数で
音名の数列を作ります。
メジャー、
Mj={1,3,5,6,8,10,12}
メジャーペンタ、
Mjp={1,3,5,8,10}
リディアン、
Ld={1,3,5,7,8,10,12}
ミクソ、
MxL={1,3,5,6,8,10,11}
マイナー、
Mn={1,3,4,6,8,9,11}
マイナーペンタ、
Mnp={1,4,6,9,11}
ブルースペンタ、
Bp={1,4,5,6,9,11}
ドリアン、
Dr={1,3,4,6,8,10,11}
フリジアン、
Ph={1,2,4,6,8,10,11}
ロクリアン
Lc={1,2,4,6,7,9,11}
ディミニッシュ
Dm{1,3,4,6,7,9,10,12}
ホールトーン
Ht={1,3,5,7,9,11}
これをリストにします。
スケールのあつまりだからSsとします。
表示用に対応する名前リストもつくっておきましょう。
Ns={"メジャー","メジャーペンタ","リディアン","ミクソリディアン","マイナー","マイナーペンタ","ブルースペンタ","ドリアン","フリジアン","ロクリアン","ディミニッシュ","ホールトーン"}
Ss={Mj,Mjp,Ld,MxL,Mn,Mnp,Bp,Dr,Ph,Lc,Dm,Ht}
Si=Ss(i)とすると、i番目のスケールの音名リストを返します。
もし、i=1ならば、Si={1,3,5,6,8,10,12}になります。
n=ルートの番号です。1 がB,2がC,....です。
i = スケールの種類です。
l2=Zip(n+k-1,k,Si)これは、Siをn-1シフトしたものです。n=1なら、Siのままです。
しかし、nが増えると12個しかない音名番号が12をこえてしまいます。
たとえば、n=5のとき
l2=Zip(n+k-1,k,Si)={6,8,10,11,13,15,17}
そこで、-1してから12で割った剰余に12を加えることで、
12を超えた部分だけ12をひくことができます。
l3=Zip(Mod(k-1,12)+1,k,l2))={6,8,10,11,1,3,5}
この番号を多角形にするために、音名番号順の昇順にします。
l6=Sort(l3)={1,3,5,6,8,10,11}
あとは、12個の複素数のうち、選ばれた番号だけを結んで多角形をかけばよいですね。
l7=Zip(pt(i),i,l6)
Polygon(l7)で多角形をかきます。