つぶと波の方程式たち
このワークシートはMath by Codeの一部です。
これから、物質とエネルギーをどうとらえるか?
を学んでいこう。
17世紀にニュートンは物質と光を分解し、粒のつながりで力をとらえる考え方を提示した。
18世紀からは粒のつながり方の変化で物質を調べる研究がさかんになる。
19世紀はマクスウェルによって電磁波をとらえる古典物理が完成する。
この「古典物理学の高まりの歴史」をたどるための基本となるのは方程式だ。
ニュートンの力学の方程式、波動方程式、マクスウェルの方程式を振り返ってみよう。
1.ニュートンの方程式
<運動方程式F=ma>
1.運動の原因は力である。運動は絶対空間・絶対時間の中で起きる。時間と空間は独立なものだ。
力が働かないとき、物体の速さは変わらないので、静止したままか等速運動をする。慣性の法則。
2.力Fを加えて生じる加速度aは、力Fに比例し、慣性質量mに反比例する。
・F=ma。(a=F/m)。
だから、質量mは動かしにくさを表す。
3.作用Fを及ぼすと、作用の対象から反対に逆向きの作用、反作用ーFを受ける。
<万有引力の法則>
2つの物、天体同士であれ、リンゴと地球であれ、どんなものでも重量質量のM、mの積に比例し、
距離の2乗に反比例する力、引力で引き合う。
・G=Mm/r2
<保存量>
ニュートンの運動の3法則から、運動量p=mvが保存されることがわかります。
pの時間微分は(mv)'=mv'=ma=Fと等しいから、2つの物体の衝突で1つ1つの運動量が変化しても
作用反作用の法則F+(-F)=0だから、運動量の総和は変化しません。
運動の勢いとしてデカルトは運動量mvを考えましたが、ライプニッツはmv²を考えました。
直接的ではないにしろ、その後のエネルギー保存則の発想につながるものと言えるね。
2.波動方程式
<ニュートンの光の粒子説VSホイヘンスの光の波説>
波動説優位となる。
ヤング2重スリット実験で、
スリットで分けた2つの波元から出た波の重ね合わせの結果、
スクリーンに縞模様ができたから。
<波の式>
波の式をf(x,t)=Asin[2π(x/λ-t/τ)]
としよう。
t=0のときは、x/λ=整数でf=0になるので、x=λが波長(空間周期)となる正弦カーブが基本形となるね。
t≠0のときは、x/λ-t/τ=0のときx=(λ/τ)×tとなる。だから、波の速さdx/dt=v=λ/τ=λνとなるね。
(振動数ν=1/時間周期τ)
2回偏微分すると、
fx"=[(2π/λ)Acos[2π(x/λ-t/τ)])]'=-(2π/λ)2Asin[2π(x/λ-t/τ)]=-(2π/λ)2f から、f=fx"/(-(2π/λ)2)
ft"=[(-2π/τ)Acos[2π(x/λ-t/τ)])]'=-(-2π/τ)2Asin[2π(x/λ-t/τ)]=-(2π/τ)2f
ft"=-(2π/τ)2f=-(2π/τ)2fx"/(-(2π/λ)2)=(λ/τ)2 fx"=v2 fx"
ft"=v2 fx" これで、線形偏微分方程式に直せたね。
これが波動方程式だ。
ある点での時間的な加速度(左辺)が、その周囲の空間的な歪み(右辺)に比例するのが波動です。
周囲との差が生じると、それを解消しようとする力が働き、それが次々と隣へ伝わっていくのが「波」なのですね。
左からの波と右からの波が干渉する
3.マクスウェル方程式
マックスウェル方程式は4つある。
どれも、ベクトル場(電場E、磁場B)の
発散div(吹き出し、吸い込み)と回転rot(うず)についてのものだ。
<4法則>
・クーロンの法則 電場の発散は点電荷密度。∇・E= div E = ρ/ε0
・単磁極子はない 磁場の発散はゼロ。∇・B= div B = 0
・ファラデーの法則 電場の回転と磁場変化の速さは比例する。∇×E=-B' (rot E= -dB/dt)
・アンペ-ル・マクスウェルの法則
磁場の回転は電流密度と電場の変化の速さの和∇×B=μ(εE'+j) (rot B= dE/dt+j)
1つずつをベクトルの微分・積分という視点から仕組みを確認しておこう。
<時間変化のない静かなベクトル場>
電場E
・div E=ρ/ε0 または div E=0 (電荷なし)
・rot E =0
閉曲面Sの領域Vで
全電荷をQ、電場をE、電荷密度をρ、真空の誘電率をε0とすると、Sはベクトル場Eとなり、
∫S E・dS =Q/ε0=∫v ρ dV /ε0 =∫v 1/ε0 ρ dV これを「ガウスの法則(積分形)」という。
一方、一般の内積型の「ガウスの定理」から
∫S E・dS =∫v div E dVだから、
div E=1/ε0 ρ 。
これをガウスの法則(微分形)といい、クーロンの法則の言い換えになっているといわれます。
なぜでしょうか。
イメージとしては、ガウスの定理はリレーの定理、中抜きの定理だからです。
遠隔作用を近接作用の相殺として説明できるすぐれものです。
オカルト的な遠隔作用を近接作用で理解できるのだから、
ガウスの定理はオカルトから脱却できるすばらしい定理なのです。
「電荷Qは点電荷という蛇口から出た電気の総量です。これは、球の表面を突き抜けて出ていった電気の総量と等しい」電気は中心から表面に向かって、バケツリレーをします。だから、表面では薄まってます。
でも、合計すれば同じ量になる。
言い換えると、遠隔作用のはずのクーロン力が表面に伝わる中心の電荷が表面全体に伝われば、表面積は半径の2乗に比例するから、伝わる電荷は距離の2乗に反比例する。
表面の電場の増減は、中心の電荷の存在が原因だという言い方もできる。
クーロンの法則を数式化するときは注意が必要です。
クーロンの法則は単一電荷が作る電場Eは電荷Qに比例して、スカラー距離rの2乗に反比例する。
ベクトルで考えると、位置ベクトルrをスカラーrの3乗で割ったものに比例する。
これは、R=r/|r|によって、球面に対する法線ベクトルを正規化するためだ。
E(r)=(Q/(4πε0)) r/r3 =(Q/(4πε0)) R/r2
1/(4πε0)=kと置くことが多い。
ただ、電荷ρが領域に一様に分布するときは、注意が必要です。
中心から離れるほど、球の体積が増えるので、電荷の総量が増えるから、電場も強くなります。
たとえば、
半径aの球面S内の領域Vで一様に電荷ρがあるとき、中心からa以下のrの点の電場E(r)を求めると、
ガウスの法則の積分形∫SE・dS(面積分)=∫v 1/ε0 ρ dV(体積分)
半径rの体積4/3πr3、半径rの表面積は4πr2
体積分 =ρ/ε0 ∫v 1 dV =ρ/ε0 4/3πr3
面積分 =∫SE(r)・dS=E(r) 4πr2
半径r以下の領域では、上記の体積分と面積分が等しいので、E(r)=ρ/ε0 * 4/3πr3 / 4πr2=ρr / (3ε0)
磁場B
・div B=0
・rot H=i
磁場は吹き出しと吸い込みという明確な点があるわけではなく、ループの束の場です。
どこで切っても、微小ループがあるというフラクタルな構造です。
磁石自体が小さな磁石の集合体になっているわけです。
だから、閉じた球面Sで見ても、磁気の吹き出しがあれば、吸い込みがあり、
面積分でも、体積分でも、積分すればゼロになります。
∫S B・dS =∫v div B dV =0
これから、∇・B=0 (div B=0)
泉のない、無限のバケツリレーという
無限地獄のような世界、それが磁場です。
一方で、磁場には電流由来のものもあったね。
静電場ではなく、電荷が動く電流がある回路があると、静電場が生じる。
高校の物理で学ぶ3法則を確認しておこう。
H=I/2πa(aは直線電流からの距離)、H=I/2a(aは円形電流の半径)、H=I N/L(長さL,巻き数L)
Hが電流Iによって生じる磁場。H=B/μ0(真空の透磁率4π×10-7)
さて、ストークスの定理は、うず、回転の積分の定理で、中抜き定理の1つだ。
閉曲線Cを境界線とする曲面Sがベクトル場f=(f,g,h)のとき、
微小領域dSでのうずであるrot f =∇×f を集めると、曲面S全体の合計がでる。
ガウスの発散の積分と同様に隣接する微小面どうしのうずは打ち消しあうので、
境界線Cの線素ベクトルdp=(dx,dy,dz)にそって合計してもよい。
曲面S全体のうず∇fの総和(面積分)= 境界Cだけのfの総和(線積分)
∫S (∇×f)・ dS =∫c f ・dp ストークスの定理。
これを使うと、
定常電流のアンペールの法則
閉曲面Sで単位面積を流れる電流ベクトル(電流密度)i の面積分と
境界線Cでの磁場の強さHの線積分は等しい。
∫S i (x,y,z)・ dS =∫c H ・ds 積分形。
rot H = i 微分形
が導けるね。

<時間変化するベクトル場>
時間変化がないときのマクスウェルの4方程式は、
div E=ρ/ε0(div D=ρ)
div B=0
rot E =0
rot B= μ0 i (rot H=i)
だった。
時間変化するベクトル場では、divの法則はそのままだけれど、rotの法則が変わってくる。
直流回路に、電気をためたり放出したりするコンデンサをつなぐと、定常電流のアンペールの法則に
誤差が生まれることをマクスウェルは見つけました。そして、コンデンサの部分に電場が生まれて
その電場の増加に応じて、そこにも磁場が生まれていることを見出したのです。
電流が流れるとコンデンサの2枚の導体、極版に正と負の電荷が蓄えられて、そこに電場が生じ、
時間とともに電場が変化します。その変化量だけ、磁場の回転が増えるということですね。
時間微分をドットの代わりダッシュにしてます。
定常電流で生まれる磁場rot H1=i の他に、
部分的にrot H2=D'(rot H=μ0ε0E')が生まれるのです。
全体では、
・rot B = μ0 i + μ0ε0 E'
です。これがマクスウェルに拡大されたアンペールの法則、アンペール・マクスウェル法則です。
さらに、ファラデーはこの逆を考えました。
電場変化が磁場を作るなら、磁場変化で電場ができるのではないか。
それを後押ししたのが、アンペールの力f=lI×B、ローレンツの力f=qV×Bです。
磁場の中を流れる電流、運動する電荷には力が働くということです。
コイルの回路(閉曲線C )をつらぬく磁束φの時間的変化が回路に起電力Vを生み、電流が生まれる、
「電磁誘導の法則」です。
V=ーφ' (磁束の変化方向を邪魔するように起電力が生まれる)という式です。
それを、マクスウェルは電場、磁場の発想で等式にしました。
このvは閉曲線Cにそった電場の線積分∫cE・drですが、
ストークスの定理から、Cが囲む曲面Sにそうrot Eの面積分と等しい。
v=∫cE・dr=∫S rot E・ndS
一方で、磁束φの時間変化ーφ'=-∂/∂t(∫S B・n dS)= ∫S (-B)'・n dS
両辺を比較して、rot E=-B'
・rot E = - B'
4.電磁波の速さは、光速と同じだ
<電磁波は波>
4法則のdivと時間微分を組み合わせましょう。
・∇・E= div E = ρ/ε0
・∇・B= div B = 0
・∇×E=-B' (rot E= -dB/dt)
・∇×B=μ(εE'+j) (rot B= dE/dt+j)
真空(ρ = 0, j= 0)において
∇×の2式にさらに、∇×か∂/∂tをした
∇×∇×E、∂/∂t∇×B、∇×∇×E、∂/∂t∇×Bの4式から、
次の2式が得られる。
∇2 E= μ0ε0 E'
∇2 B= μ0ε0 B'
となり、波動方程式のv2=1/μ0ε0 が得られます。
すると、
μ0(真空の透磁率)=4π×10-7
ε0(真空の誘電率)=1/(4π×9×109)
1/μ0ε0=1/9×1016
これから、v = 3×108
電場、磁場は波として伝わり、電磁波の速さは、約30万㎞。
光速と同じになるね。
同じ速さということは、「光は電磁波であること」につながっていく。
光速一定という特殊相対性理論につながる数値だね。
すばらしい。
ヤングの2重スリットといい、マクスウェルの4方程式といい、
光の波動説にぐっと近づく結果が続きましたね。
波がつたわるためのエーテル教の支援を受けて「光は波動」説の大勝利か??
5.アインシュタインがひっくり返す
しかし、
19世紀末から20世紀の頭は
エーテル教が支持する「光の波動」説が君臨する世界の崩壊の始まりだった。
<ひび割れはウィーン法則から>
物を熱すると赤味がつき、さらに白味がかった赤になり、もっと温度があがると白くなる。
つまり、物質の温度上昇とともに、色の波長が短くなる(赤から白へ)、周波数が多くなる。
「物体の発する最大波長と絶対温度の積は一定」λmax*T=C
というのがウィーンの法則。
完全黒体と言われる小さな中のある空洞を使った実験が行われた。
この実験から温度を変えたときの波長と放射強度の(明るさ)の関係グラフができる。
それがスペクトル分布というものだ。
このスペクトル分布を説明しようとして2人が部分的に成功した。
ウィーンさんの式は光を粒とした式にして、赤外でズレが大きくなった。
波長が大きい(周波数が小さい)とズレる。赤外カタストロフィと呼ばれる。
レイリーさんの式は光を波とした式にして、紫外でズレが大きくなった。
波長が小さい(周波数が大きい)とズレる。紫外カタストロフィと呼ばれる。
このように、それぞれの数式は一長一短だった。
<量子化のきざしは「プランク仮説」>
プランクは苦肉の策で、2つの式を無理やりつなぐ式を作る。
そう、プランクこそ「光はつぶ波だ、光は量子だ」の先駆けなのだ。
縦軸にくる明るさ、つまり、エネルギー密度ρ(ν、T)=8πν2/c3 * hν/[exp(hν/kBT)-1]
ν:振動数、T:絶対温度、kBボルツマン定数、c:光速
これだけではない。プランクはこの式にあう仮説を作る。
En=n hν(プランク定数:h=6.626×10-34Js, 整数:n=0,1,2,3,...、振動数:ν)
エネルギー単位hνというエネルギーのつぶ
があり、振動数νに比例する。
エネルギー単位の整数倍のエネルギーEnがやりとりされる。
自然は連続量でできているという、自然観の破壊が始まる。
<光電効果に対する「光子理論」>
紫外線を当て、電子が飛び出すという実験で光電効果が見つかった。
これは、光が波だとするとほぼ無理な現象。
意外なことに、飛び出る電子のエネルギーはあてる光の強さには関係ないけど、
光がつよいと、飛び出る電子の個数が増える。
そして、あてる光は紫外線のように波長を短くする(周波数が大きい)と飛び出す電子のエネルギーが
大きくなった。
そこで、アインシュタインは
光は「波でも粒でもないもの、光量子(light quantum)、光子(photon)」だという理論を主張。
(当時は仮説だったが、今は検証されているから理論にした。)
とびだす電子の運動エネルギー=(光子のエネルギー)ー(電子を束縛するエネルギー)
E=1/2 mv2= hν-W
mは電子の質量。hはプランク定数、νは光の振動数。
この式はミリカンさんが検証してくれた。
<マイケルソンモーリーの実験>
詳細は省きますが、
光の通過経路を変えても、光速は一定なため、
「エーテルなんかない」ということが明らかになる。
これで、エーテル頼みの「光は波動」説の敗北か。
そうではなくて、光は波でもあり粒でもある。
ただの波でもないし、ただの粒でもない、だからどちらでもないともいえる。
状況によって、別の顔を持つといえる。
「AかBか」の二元論、存在論ではなく、
「AもBも」の状況論的な機能論が
物理学にも必要な時代の到来!!
ともいえるかも。
課題:エネルギー密度をρ(ν、T)ではなく横軸を波長λにしてスペクトル分布を視覚化するにはどうしますか。
縦軸にくる明るさ、つまり、エネルギー密度ρ(ν、T)=8πν2/c3 * hν/[exp(hν/kBT)-1]
ν:振動数、T:絶対温度、kBボルツマン定数、c:光速 h:プランク定数
この式で、速さは波長×周波数だから、c=λνを使います。
ν=c/λなので、微分すると、|dν|=c/λ2 dλで変換しましょう。
ρ(λ、T)dλ=ρ(ν、T)dν=8πν2/c3 * hν/[exp(hν/kBT)-1] dν
=8πh(c/λ)3/ c3[ exp(hν/kB T)-1] (c/λ2 )dλ
=8πhc/ λ5 [ exp(hc/λkBT)-1] dλ
物理定数を簡略化すると、
(L,T)=1/L^5(exp(1/L*T)-1)となるね。
geogebraで作るなら、
f(L,T)=((1)/(L^(5)))*((1)/(ℯ^(((1)/(L T)))-1))
として、
Ts={0.5, 0.7,1.0,1.5}
a(t,x)=f(x,t)
Zip(a(t,x),t,Ts)によって、Lsの各値のグラフ化ができるね。
スライダーでTを変数化して、curve(t, a(t,T),t,0.1, 5)のようにすると、グラフの形状の変化もわかる。
peak_locus = Curve( (0.2014/k), (f(0.2014/k, k)), k, 0.1, 5)によって、ピークが明示される。
これで、スペクトル分布とウィーンの変位則が視覚化できるはずだ。